Atelier Tetsu Suzuki 鈴木徹さん @世田谷区経堂

取材キッカケ
(2025/2/6)

うちの近所に出来ていた、ステキな楽器屋さん。
外から見たら、ウッドベース(コントラバス)が、いっぱい置いてありました。
(ジャズ研究会出身の私にとっては、ウッドベースです)

お店が出来た当初は、入りたいけど入る用事がありませんでしたが、バイオリンを習いはじめて弦替え毛替え(バイオリンの弓の毛は定期的な交換が必要です)や調整をお願いしています。
※「Atelier Tetsu Suzuki」さんでは、コントラバスだけでなくバイオリン・チェロ・ビオラの調整修理もやっていただけます。
憧れ続けた職人、マエストロ鈴木徹さん、実は世界最高峰のオーケストラのベルリンフィル(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)のコントラバス奏者もお客さんでした。

人となり 目次

1実は世界のTetsu Suzukiなんです
2鈴木さんはどんな人?
3ラフォルジュルネ、気づいたら30人くらい並んでいて
4ストラディバリも聞いていたクレモナの鐘
5何かやるんだったら、一番上のモノから勉強しよう
6おススメのイタリア飯、場所は?
7世界でトップといわれているオケからいいって言われたら、嬉しいですよね
8楽器は育つ

1実は世界のTetsu Suzukiなんです

2024年のイタリアでのトリエンナーレコンクールで受賞されたとのこと、おめでとうございます!

ありがとうございます。
実は初めて出た2008年のイタリアのコンクールは金賞だったんですよ。
イタリアのトリエンナーレコンクールは1位2位が誰もいなくて3位だったので、実質1番でした。
1位を出すと賞金を出さなきゃいけないからそのコンクール、あまり1位が出ないんですよ。(笑)
あと、アメリカのコンクールでも出る度に賞をいただいています。

ということは、世界の鈴木徹じゃないですか?

自分で言うとあれですけど。(笑)

2鈴木さんはどんな人?

鈴木さんが通っていた日本大学文理学部の校舎(世田谷区桜上水)は、今のアトリエからも近く地元な感じですね。
学生の時もアトリエ付近に住んでいたんですか?

はい。
北沢川)緑道沿いの風呂無しのアパートに、男5人で住んでしました。
椎名誠の「哀愁の町に霧が降るのだ」という本を高校時代の友達が読んでいて・・・椎名誠が20歳の頃に友達3~4人と共同生活していたことを書いた本で、「俺らもこれやろうぜ」と。
みんな進学先が同じだったので「経堂がいいじゃん」となり、この辺で探して(アトリエは経堂にあります)桂荘という(今はない)アパートに住みました。
俺は卒業後も住んだので、合計6年くらい住んでいました。
学生時代は、フォークソング研究会でエレキベースを弾いていました。

そういえばエレキベースも壁に掛かっていますね・・・修理もしてくれるんですか??

たまに持ってくる人もいますね、あれはベースの人がみんな食いつきます。
ジャスベースの68年のやつでスタジオミュージシャンなら「うお~」ってなります。

地元といえば、近くの小学校の「まち探検」の授業で子供たちが来たそうですね。
すぐ近所にこんな素敵なアトリエがあるなんてとてもラッキーですね、羨ましいです。

2年連続で来て、子供たちとその保護者も来ていました。
そのあと授業で感謝のお手紙を書いてくれたりして、嬉しかったですね。

「吉田類の酒場放浪記」にも出ていましたね。

取材がちょうどイタリアから帰ってきたばかりの時で、サラミとワインがありスタッフさん含め皆さんにふるまいました。
安いワインだけど、逆に日本で売ってないもので喜んでくれました。

3ラフォルジュルネ、気付いたら30人くらい並んでいて

2024年のラフォルジュルネ(東京フォーラムで毎年GWに行われる世界最大級のクラシック音楽祭)に出展された時、子供に製作途中のコントラバスの板を削ってもらったそうですが。

以前は「弦楽器フェア」というのが毎年あったのですが、コロナでなくなったんです。
そこで「ラフォルジュルネで出展できればいいな」と思い5~6年前に東京国際フォーラムに問い合わせたのですが、結構いいお値段なので諦めていました。
でもおととし連絡を取ってみたら、コロナで出展者が少なかったこともありリーズナブルになっていたのでバイオリン、チェロなどを作っている友達を何人か誘ってブースを出しました。
それが結構うまく行って、結構気に入ってもらったので今年も出ます。

今年(2025年)も出る?!

(2025年)5月の3、4、5日、東京国際フォーラムのB7フロアで60社出るそうです。
詳しくはコチラ
自分が言い出しっぺなので人を集めたら、結局半分以上イタリア人の俺の知り合いです。(笑)

イタリアの職人さん達が日本に来る?

来ます。
弦楽器フェアをやっていた時はイタリア人も来ていたけど、しばらく来れてなく「どうなっているんだ?」とイタリアへ行くたびに聞かれていたんですよ。
だから、(ラフォルジュルネで)「やるよ」と言ったら、日本に行きたいと考えていた人は「それなら行く!」と。

楽しみですね!子供たちにとってコントラバスは、自分より大きい楽器ですよね。
どういう感じでした?

去年は自分が客寄せパンダに徹しようと思って。
削る作業が分かりやすいと思って、製作途中のコントラバス持って行きました。
刃物を使ってガリガリやっていたら「なんだなんだ」とワーって集まってくるんです。(笑)
ずっと見ている子がいるから、「ちょっと小っちゃいカンナで削ってみる?」と聞いたら「僕も!あたしも!」ってドーって集まり、「この子にも削らせてください」と遊園地状態になっちゃって。(笑)

大盛況だったんですね。今年は行きます!

今年は彫るのはやらないです、大変なことになっちゃうから。

では、去年出来た子はラッキーですね!
イタリア人の職人さんが来たら、通訳はどうするんですか?

みんな英語が出来ると思います。

イタリア人は、英語がしゃべれるんですか?

日本人の英語と変わらないですね。
でも、みんな物おじしないです。
日本人は「私、喋れません」となるけど、イタリア人の慣れている人は適当にしゃべります。
こういうところに来る人は、だいたい(英語は)喋れますよ。

では、お祭りのように楽しくなりますね!
実は私も娘が小さい頃ラフォルジュルネの「ゼロ歳から入れるコンサート」に「興味を持ってくれないかな」という下心満載で(笑)連れて行ったんです。
そうしたら、オーケストラの人が楽器を触らせてくれたのです!
その頃はオーケストラで使う楽器は遠い存在でした。
子供たちは音楽の授業の教科書で見るのがせいぜいで、コントラバスが学校にあったとしても使われず楽器庫に眠っていたり・・・子供たちのリアクションはどうでしたか?

喜んでいましたよ、「僕も!僕も!」みたいな感じで試奏してもらって。
「弦楽器フェア」は楽器の好きな人が集りますが、「ラフォルジュルネ」は音楽が好きな人が集まってきます。
「一回触ってみたかったんです」と言う人が・・。

(突っ込み気味に)分かります~~~!

1回「いいですよ~」といって弾かせたら、また「あたしもあたしも」になって、気づいたら30人くらい並んでいました。(笑)

分かります。高い楽器だから、触ることすら憚られます。
コントラバスなんて、素人にとっては雲の上の楽器です。

4ストラディバリも聞いていたクレモナの鐘

イタリアへの留学、勇気いりませんでした?

イヤ、全然俺は関係なかったですね。
大学を卒業後、「サラリーマンにはならない」とか言ってた・・・今考えると何やっているんだろう思うけど(笑)フリーターみたいなことをやっていたんです。
そこから転々として家電量販店、マッサージチェアの販売をやり「もうちょい給料上げてください」といったら「じゃあ営業をやって」と言われて、営業をやっていました。
でも「これは自分の一生の職業じゃないよ、どうしようかなあ」と思って。
その時にふと「楽器を弾くプロが無理なら、楽器を作る仕事をやればいいんだ」と閃いて。
じゃあ作る方でいこう→作るにはどうするか→世界一は誰だ?→ストラディバリウス、じゃないですか。
ストラディバリウスがいたのはイタリアのクレモナで、クレモナに弦楽器の製作学校があるというのは知っていたんですよ。
「じゃあクレモナに行こう」というのが、26歳の時で。
両親に「クレモナに行って勉強したいんだけど」と話したら「金はあるのか?」と。
2年間働いて200万円くらい貯めて、あとは親から貸してもらい、それで29歳になる時(2004年)にクレモナに行ったんです。
5年制の学校なので、日本の高校を卒業していたら高専(高等専門学校)と同じく3年生から編入が出来るんです。
金がないから3年から入りたいと思っていたけど、その年は入学する人が多かったのでダメだったんです。
1年生からのスタートでしたが、結果それがよかったんですよね。
5年間の学生ビザが取れるし、5年間くらい勉強しないと無理というか。
俺、作る方は全く知識なかったんです。
それでいろいろなマエストロのところへ行き・・・クレモナって、街の中に200人くらいプロの楽器製作者がいるんですよ。
学校に行きながら、コントラバスを作っているマルコ・ノッリ(下記Instagram参照)という人のところに、運よくすぐ入れたんですよ。
クレモナに来年行くと決まっていた時に、友達が新宿の伊勢丹で「バイオリン製作実演をやっているよ」と教えてくれて行ったら、サラミなどを売っている「大イタリア展」という催し物をやってたんです。
そこに客寄せパンダで、バイオリンの職人が一人来ていたんですよ。
実演をしていた人もマルコっていうんですけど、その時の僕はイタリア語がゼロだし英語もほとんど分からないけど「来年クレモナの学校に行ってコントラバスを作りたい」と言ったら「じゃあ、知り合いに手紙書いてやるよ」と言われ、手紙を書いてくれたんですよ。
向こうの学校は9月始まりですぐに働ける保証はない、しかも経験ゼロじゃないですか。
だけどその工房に空きがあったのと、なぜだか「じゃあ来てもいいよ」と言われ。
最初は週に2~3回行って、学校の授業も午後にあったし、まあそんな感じで始まったんですね。

マエストロのところに行けない時や暇な時はほぼ毎日、本物のストラディバリウスのバイオリンを見に行っていました。
その時は市庁舎の一室で、タダで見られました。
一応5ユーロ払うんですけど、学生証があればタダで入れるから「またお前か」とか守衛のおっちゃんに言われて。(笑)
あの時は「世界で一番ストラディバリ見ているのは、俺だな」とか勝手に思っていて。(笑)
でも、2年間ほぼ毎日通ったんです。

5何かやるんだったら、一番上のモノから勉強しよう

「目を鍛えた」というやつですね。

今は展示の形が変わり「バイオリンミュージアム」になっていて、学生はタダでは入れるらしいです。
何が分かるという訳ではないけど「こうなのか」となんとなく頭に入っていると思うんですよ。
とりあえず何かやるんだったら、一番上のモノから勉強しようと。

本物から、ですね。

俺が大学卒業後にバンドをやっていた時、ギターがとてもうまい先輩がいたんです。
楽器は何でも一通りできる先輩だったけど「ウクレレ初めてだからさ」と、ウクレウを買ってきてポロポロって弾いてたんです。
次の週、スタジオに入った時にめちゃくちゃうまくなってるんですよ。
「何でそんなうまくなっているの?」と聞いたら「地道に下から積み上げるんじゃなくて、そのジャンルの世界の一番うまいやつをコピーすればいいんだよ。」といって「あ、そうか」と。

真実ですね。

そこから「クレモナに行こう」という発想になったんですよ。
何かやるんだったら、トップのモノだけ見続けておけばいいやと。

ホームページの「クレモナの鐘はストラディバリも聞いていたんだろうな」という話を見ていいなと思いました。
石の文化って、200年300年変わらないと聞きますが。

ヨーロッパの中でも、イタリアじゃないとそれはないと思います・・・スペインはあるかもだけど。
ドイツはことごとく戦争でぶっ壊されているから。
フランスもフランス革命の時に変わっていてその頃(200年前)の建物はあるけど、イタリアみたいに500年前の建物に住んでいるということはない。

500年前?!!

俺が住んでいたアパートも築500年で、クレモナの俺の工房も最低500年前からあって、その隣の家は1100年からある家でした。
クレモナなどイタリアは「ルネサンス時期(14~16世紀:ダビンチ、ミケランジェロ、ラファエロがルネサンス3代巨匠)」に変わっているんですよ。
だから1400年後半の建物が結構ある。
500年前の地図が今でも使えますからね。(笑)
ここにストラディバリの家があったとか・・・「あ、ストラディバリもこの壁を見てたのかな」と。

そういうの、ワクワクします。本物を作った人と同じところで息をして・・・。

そういうのが大切だなと思ったんです。

6おススメのイタリア飯、場所は?

ウクレレの先輩に感謝ですね。
イタリアへ行ったときにはぜひ行って!という場所、ありますか?

俺はクレモナだけど、普通に観光で行くんだったらフィレンツェじゃないですかね。
イタリア人も「フィレンツェがイタリアのイタリアだ」というし・・・ローマという人もいるけど。
フィレンツェはミュージアムを回ったら「え、これ教科書で見たことあるんですけれど」というのばっかり。
ボッティチェリ(「ヴィーナスの誕生」などを描いた画家)の絵とかダビデ像とか、ことごとく「え、これもイタリア?これもそうだったの?!」という感じでフィレンツェは楽しいです。

クレモナの中でも好きだった場所は?

ポー川ですね。
暇な時はそこに行ってましたね。

好きなイタリア飯は?

トリッパという牛のハチの巣の煮込み料理・・・場所によって全然味が違います。

7世界でトップといわれているオケからいいって言われたら、嬉しいですよね

イタリア以外のヨーロッパは?

ドイツは何回か行っています。
ミュンヘンのオーケストラ(ミュンヘンフィル)に知り合いがいて、俺の楽器も置いてあります。
あとバイエルン放送交響楽団も知っているし、あとはベルリンフィルの人も主席の人が俺の楽器を気に入ってくれて。
去年、ここでその人(Esko Laineさん)のワークショップをやったんですよ。
世界でトップといわれているオケからいいって言われたら、嬉しいですよね。

経堂から世界へ!じゃないですか!

その時はクレモナだったけど。(笑)
今日もベルリンフィルの人が来ます。

そういう方がお客さんなのですね。
ということで、素人は入っちゃいけないんじゃないか?と思ってしまうんですが。

(突っ込み気味に)いや、そうなんですよ、それが困っているんです。
結構この辺、バイオリンを習っている子供が多いみたいで4/4のフルサイズの人はあまり来ないけど、(子供用の小さい)分数バイオリンの修理とか調整とか多いですね。
ベースは特に・・・賞を取ったとか、クレモナでやってたとか、普通にやってきたことをホームページに載せているつもりだけど、傍から見ると「この人凄い」と思うらしくて・・・それは困ります。

確かに1回来たら5万とか10万円とか取られるんじゃないかと思います・・・。

ないです、そんなに敷居高くないです。(汗)
誰でも入ってきてほしい・・・興味本位は困るけど(笑)楽器を弾く人にはなるべくきちんとした楽器で弾いてほしいと思うし、その方が楽しいじゃないですか。

確かに(バイオリンの弓の)毛替えと弦を変えてもらったら違う楽器みたいに鳴りがよくて。(インタビュアーはバイオリン歴1年ちょっと)
北海道に行ってスキーをするとうまくなった気がするのと同じ感じで、気持ちよく弾けました。(笑)

弾きにくい楽器で練習しても、一生懸命やるポイントが違う。
きちんとした楽器でやっていればうまくなるけど、変な楽器だと鳴らないじゃないですか。
中学・高校の吹奏楽部にもコントラバスがあるんですけど、以前どこかの高校で3~4台修理を頼まれて行ったんですよ。
そうしたら、やっぱりガタガタの楽器で・・・行く前に部員の人から「合宿だと私達、血を流しながら練習しているんですよ」と。
「この子話盛るな~」と思っていたら、弦高が高くて本当に血豆を作って血を流していて・・・こりゃそうだよな、まず弾けないでしょうというセッティングでした。
学校の楽器は、ほとんどそうだと思うんですよ。
業者に出しているという学校もあるけど、コントラバスの修理を知っている人はほとんどいないです。
まともに勉強して、日本の中できちんと修理できるのは5人くらいかな。
修理をやっているという人はいっぱいいるけど、きちっと誰かに習ってという人はほとんどいません。
都内は全然いないから、プロオケでも結構ガタガタのセッティングでやっている人が多いんですよ。
だから俺は、どこかのプロオケのコントラバスを全部調整したいんです。
ちゃんとしたセッティングをして演奏したら、指揮者は分からない訳はないと思うんですよ。
それをやりたいな~と思っています。

ミュンヘンフィルでは、全ての楽器の調整をやりました。
マレーシアのクアラルンプールのマレーシアシンフォニーの楽器も、全部やりました。
マレーシアのペトロナスというプロオケにも呼ばれて・・・ペトロナスツインタワーがあるじゃないですか、そこのコントラバスの人に呼ばれて、地下2階の作業場に1週間こもって調整をしました。
ご飯を食べるときだけちょっと外に出て、「俺、何しに来たんだ?」と思いながら。(笑)

8楽器は育つ

楽器って、弾けば弾くほどいい音になりますよね。

きちんと作ってある楽器は、弾きこむほどにどんどん深みが出て自分の音になってくる、育ってくるんですよ。
安い楽器は、ある程度までは行くけどそこで止まる、もしくは落ちてくる。
だからストラディバリは生きている時からストラディバリだったんですよ。

ストラディバリは、何年前くらいの人なんですか?

おそらく1644年頃に生まれて、1737年頃に亡くなって、97歳まで生きているんですよ。
ストラディバリはすごいメーカーだと思われているけど、同時にあの人はビジネスマンなんですよ。
自分でも作っていたと思うけど、10人くらい雇っていたという記録があるんですよ。
ストラディバリは「製作者」じゃなくて「超ビジネスマン」。
だからテンプレートを作り、誰でもきちんとしたものが出来るというシステムを作ったんですよ。
大量生産ではないけど、工場制手工業(マニュファクチュア)ですね。
ものとしては超一級のモノを作っているし、売り込み先もスペインのオケとかフィレンツェのメディチ家(当時のイタリアの大富豪)とかでした。

見せ方、売り方がうまい。

それとは別にガルネリという人はおそらく全部自分でやっていたから、また全然別系統。
好きな人はガルネリの方がいいっていいます。

バイオリンを全然知らない人でも、ストラディバリは知っていますもんね。娘が、職人にも興味がある感じで・・・でも給料安いんでしょ、と迷っているみたいで。

儲けとか全然俺、考えなかった。
今でもそうですが、クレモナに行く時は「コントラバスを作って、理想の音を作るんだ」ということしか考えていなかった。
食っていかなきゃいけないから、あとからそういうことも考えましたが。
大学卒業した後に契約社員やって、まがりなりにもサラリーマンをしていたからそういう頭はあったんですよね。
クレモナに来ていたやつでも、高卒大卒で働かないまま来たやつは甘い。
「いい楽器を作りたいんだ」と、自分の理想だけ夢見てなんとなくで終わっていくみたいな。
1回でも2~3年働いてから来た人は、社会の中で自分がどういう立ち位置なのかを何となく分かっているんですよ。
もちろん自分の理想の楽器を作るのは一番だけど、じゃあこれをどうやって売ってどうやって生活していくか、ということも考えられる。
一見、2~3年遠回りしているように見えるけど、長い目で見たらその方が全然いいんですよ。
では、上の工房を見に来ますか?

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